SS『急いで口で吸えの4曲目』*ウザ住殿三次創作品です〜二つの空き缶 - いもげばこ−二次元裏img@ふたば過去ログ保管庫


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16/11/05(土)00:07:26 No.388908829 del
SS『急いで口で吸えの4曲目』

*ウザ住殿三次創作品です

〜二つの空き缶と名前の無い二人〜

●前回まで●

ついに決着か?澤ペコ対決
ウザ住殿が制止に出ようとするが間に合うのか?
16/12/07(水)17:51:49 No.388908829
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キタ━━━(゜∀゜)━━━!!
16/11/05(土)00:08:06 No.388908971
「う〜えーこちら大会本部、審判です!本試合は車外に身を出した状態での至近距離発砲を禁止しています!速やかに車内に戻ってください!繰り返します!双方車内に戻りなさい!」
ヘリから大音量で注意のアナウンスがされました。
このままだと警告に移り、失格カウントが始まります。
子兎殿は試合前の注意をを聞いていなかったんでしょうか?

「西住殿、準備できました。いつでもハンビーで制止できます」
途中甲冑を脱いで本部のテントに駆け込み、ハンビーの貸与と、
制止は当方側で行う旨を申し入れました。

「こちらも演奏の引き継ぎを頼んでありますので、もう行きましょう。子兎と聖グロの小娘はあの距離からでも発砲しかねません」
急いでハンビーに乗り込み試合場まで向かいます。
「ブーツを脱がれてどうしたんですか?」そう訊ねる私の頭を平手で張り、
「犬が上手く止められない時は私が走ってU号に乗り込んで止めるために決まってるじゃないですか!?バカなんですか?」
西住殿の頭にも血が昇っておられる様でした。
16/11/05(土)00:08:33 No.388909071
「全く呆れたもんですよ。あの距離でマズル狙いなんて。早打ち勝負じゃないんだから。戦争するなって教えたんですけどね」
「はあ、全くです。お互い数メートルでのチキンレースなんて。砲弾が白旗判定で自散する時間なんてありませんよ!」
双方で同時に発砲してもわずか数メートルでは自散時間が足らず、
最悪双方死傷者ありの大事故にもつながりかねません。
セミプロ協会は最近できた為、戦車道本戦よりレギュレーションを厳しくしています。
死傷者、負傷者を極力出さない配慮、と言うよりも歴史が浅い分だけ問題が出れば即解散のリスクが高いのです。
数秒でも早く着くようにとハンビーのアクセルをさらに踏みました。
16/12/07(水)17:51:49 No.388908829
1478272046285.jpg-(71320 B)
キタ━━━(゜∀゜)━━━!!
16/11/05(土)00:08:54 No.388909147
○●○●○●○●

首狩り兎はキューポラから半身を乗り出し、
尋常じゃない雰囲気を出して、私を睨んでいました。
あの体勢では発砲できるはずが…
「足で発砲する気なのか!?」
不遜に腕を拱いて、何やら歌を唄って挑発しているようです。

"冷めないうちに 君はもう待ちきれない〜アッアッアッアーン!うー絞ってぇー!!"

「車長、意見具申です。今発砲すれば失格になります。お戻りください。仕切り直ししましょう」
砲手席からニルギリが声をかけてくれました。
でも今戻って果して仕切り直しできるものか?
そんなに悠長に出来る状態の相手か?
いや、反則負けしても勝負には勝つ事を選ぶだろう。
16/11/05(土)00:09:13 No.388909226
注意から警告に変わったら5分で試合失格になる。
どの位時間が残っているだろう?
それまで粘るつもりか?
私が車内に戻れば…いや戻るまい。
それで発砲したら私達が負ける。

「砲手!砲塔再旋回はいけますか!?操縦手!右履帯だけで旋回いけますか!?」
首狩り兎に聞こえるように、大きな声を出して尋ねます。

「車長、お戻り下さい。砲塔、車両とも旋回はできますが後数分で失格になります!!」
ニルギリが明らかに焦れている声で返答してきます。

「総員ノクト脱装!繰り返します!総員ノクト脱装です!」
外しながら車内に呼びかけ、暗闇の中の子兎とU号を睨みます。
16/12/07(水)17:51:49 No.388908829
1478272046285.jpg-(71320 B)
キタ━━━(゜∀゜)━━━!!
16/11/05(土)00:09:39 No.388909309
「外しましたから早く車内に戻ってください!それでこちらの勝利です!」
報告と同時にヘリのサーチライトが点き、
予定通り最後の警告アナウンスが始まりました。

「こちら大会本部審判長です!改善が無い為警告です!現状維持のままならサーチライトを消してから5分後に双方失格になります!双方車内に戻りなさい!!」
このアナウンスの後、私達2両以外の駆動音が聞こえました。
援軍か?いや当方の他2両は大破、乗員退避済みの筈です。
敵方なら反則負けになるはずだし、現状維持なら両者反則負けの引き分けになります。
試合には負けても勝負に勝とう!そう思いました。
車内に戻りカウントを待つか、双方が戻って仕切り直しで勝負するかの選択肢はもう見えていませんでした。
「砲手!撃て!」そう声をかけた時、U号戦車の後部側面にぶつかるハンビーM1123重装甲救急仕様車が見えました。
16/11/05(土)00:10:14 No.388909426
○●○●○●○●

ドーンという音と、ガツンと車両ごと身を揺さぶる衝撃が同時に来ました。
クラッペに左右肋骨をぶつける程の衝撃。
被弾か!?と思いましたが、左前方に砲撃の穴が開いているように見え、
後ろを確認するとハンビーが一台、ぶつかったまま大破しています。

「ただ今聖グロ義勇軍の発砲、そして西住&スーパーアニマルチームの登録外車両による試合介入で両者失格と致します!」
サーチライトが再度点き、アナウンスが聞こえました。

「え?介入!?まさか…あのハンビーには…西住隊長とご主人様が…?…まさか…」
U号から飛出し、ハンビーに駆け寄るとドアが中から蹴り開けられました。
暗闇から額を割って顔中血まみれの西住隊長が降りられ、
その後、よろよろになったご主人様の秋山殿が降りてこられました。
 
16/11/05(土)00:10:48 No.388909544
「梓!何してるんですか!?戦車道は戦争と違うと何度も言い聞かせましたよね!!??」
「ごめんなさい…ごめんなさい西住隊長…血が…お顔から血が…ごめんなさい!」
私が泣きながら抱きつくと、パンッと一発強烈な平手をもらいました。

「梓?怪我はありませんか?肋骨折れてないですか?吐き気は?大丈夫ですか?何故戦車道で相互理解ができるのにそれを無駄に捨てる真似をするんですか?私にはできない事だって教えましたよね?」
「ごめんなさい…ごめんなさい西住隊長!本当にごめんなさい!勝負に勝ちたかったんです…血が止まってません!救急キットを…」
私が車内に戻ろうとした時、腕をグイっと掴まれ、こう言われました。

「謝る相手が違います。今からお相手の小娘に謝罪します。一緒にきなさい」
ヘリが照らすサーチライトの下、グズグズ情けなく泣いている私の手を引いて、裸足で連れて行ってくれました。
対戦相手の車長、オレンジペコさんはマスクを外し、降車して履帯や転輪と車両を擦った跡を確認されていました。
西住隊長はリストバンドで自分の顔を拭うと「少し良いですか?」と声をかけました。
 
16/11/05(土)00:11:18 No.388909640
「この度は私の飼い兎が大変失礼を致しました。ペットと共にお詫びします」
「次の対戦の際は殺伐とした果し合いではなく、相互理解を前提とした試合を子兎にさせて下さい。お願いします」
誰にも非を詫びた事の無い西住隊長。
私の為に頭を下げ、許しを請い次回の対戦までお願いしてくれる西住隊長。
その姿に涙が止まりませんでした。

「いえ…お互い様ですし…お顔から血が…流れていますが大丈夫ですか?き、緊急キットを今出しますから!ニルギリ!!!」
そう言って蒼ざめた顔をしているオレンジペコさんに、これもメイクだから心配に及ばない、
ペットの子兎の謝罪を聞いてもらいたいとお願いされていました。

「子兎、きちんとお詫びしてから"またお願いします"って言ってきなさい。ほら、泣いてないで早くしなさい」
そう言って優しく私の背中を押してくれました。
16/11/05(土)00:11:48 No.388909744
「申し訳ありません。血が頭に昇って…失礼な真似をしました。本当に申し訳ありません」
「お顔…お顔が…何で傷と痣が…私の所為で?ごめんなさい!本当にごめんなさい!こんな…お二人にお怪我を…ああどうしよう!」
涙でメイクの落ちた顔を見られました。
鼻血も拭いてなかったのでそれもあったでしょう。
「違うんです、違うんですよ?」
先程の西住隊長の出血と私の傷でショックを受けれたようで、
泣きだしたオレンジペコさんは取り乱して話ができる状態ではありませんでした。

「ペコ!泣いていないできちんとお詫び申し上げなさい!ニルギリも降りてきて発砲したお詫びをしなさい!」
もう一台ハンビーが来ており、ダージリンさんが大声で叱責をしました。
お二人が並ぶとダージリンさんは手の甲で平手を一発ずつ張り、
言葉をかけてからオレンジペコさんを抱きしめ、心配をかけないで頂戴と何度も何度も呟いていました。
ダージリンさん達の謝罪を受けてから撤収準備が始まりました。
16/11/05(土)00:12:09 No.388909808
西住隊長とダージリンさんが撤収に関しての話をしてる最中、
ご主人様が飲み物を2本持ってきてくれて、
「これしかありませんでした。お二人でお話しながら飲んで下さい。後は我々でやりますから。ね?仲直りしなさい」
汗だくで笑いかけてくれるご主人様。
また泣き出した私をオレンジペコさんが優しく手を引いてくれて、
試合場の隅の岩場まで連れて行ってくれました。

「おかしいな…何でこんな事になっちゃったんだろう…」
「ええ、何故でしょうか?私にも解りません」
二人とも泣きはらした重い瞼のまま並んで座り、
ボソボソと試合をするまでの経緯を話し出しました。
撤収の音が聞こえる中、ここだけ静寂が包む別の世界。
16/11/05(土)00:12:30 No.388909893
「今は子兎なんです。名前はまだ無いです。でもさっき西住隊長が梓って呼んでくれたから梓で良いですよ」
「私も今はサードって呼ばれてます。ダージリン様がペコって呼んでましたから、ペコって呼んでください」
名無しの二人。
名前を預けた二人。
今後もその呼び方で互いに呼び合うのだろう。
いつまで?
それは今の私には解らない。
大洗の学園艦から追いかけた話を続けた。

「そんなに西住さんの事が好きなんですか?大変失礼ですけど良いお話を聞きませんし、以前の態度の印象が強くて…」
両手で冷えた缶を包み、目線を伏せながら呟くようにペコさんは言いました。
「いいえ、西住隊長は立派な方です。勘違いされやすいだけです。私はそう信じていますし、信じ続けます」
「大好きなんですね。狡いなあ、あの人。ダージリン様もそう。なんでも自分の物にしてしまってから知らん顔」
「でもペコさんもダージリンさんの事、好きなんですよね?そうならそれで良いじゃないですか。相手や周りの誰がどう思おうと、押し付けない限り自分の気持ちは自分だけの物です」
言ってから恥ずかしくなったので視線を西住隊長に向けました。
16/11/05(土)00:12:51 No.388909966
「強いんですね。梓さんは。そんな風に誰かを好きになれるのすごく素敵です。私もそう思える人になりたい」
えっ!?と思いましたがペコさんが元気になってくれたのならそれでいいや、そう思いました。
手の甲で張られた張手が思いの他ショックだったみたいです。

ご主人様からもらった飲み物のプルタブを開け、
ゴクリゴクリと音を立てて飲むとすぐ横から喉が鳴る音が聞こえました。

「ペコさんは飲まないんですか?」
「いえ、手に力が入らなくて開けられないんです。無理やり連続装填をしましたし、傷が開いた様で…」
右手が微かに震えておりグローブを外し、タンクジャケットを捲ると肘から下がべったり血塗れでした。
一つのベアリングが広がっていたケーブラーの縫い目に直撃して、めり込んでいたのを隠していた。
自分で縫ったが興奮して傷が開いたと。

「じゃあプルタブ開けますから飲んでください。それに私も傷開いちゃってほら」
右足の裾をめくり、ブーツを脱いで血が流れているのを見せました。
16/11/05(土)00:13:10 No.388910033
特訓内容を話してお互いバカな特訓をしたんだと呆れて笑い合い、
試合中テンションが急に変わったのはアドレナリンをシリンジで入れてからで、
全部アドレナリンが悪いんだ!と二人とも物に責任を擦り付けました。
そんなバカみたいな話をしていると、お嬢様でお上品と思っていた彼女が急に身近に感じられて不思議に思えました。

「そういえば!私がMG34で撃ち込む前になんで逃げなかったんですか?」
「私達はノクト装備がありました。一方的に優位なのはフェアじゃありません。操縦手は移動を具申してきたんですけど私が却下しました」
私は怒りに駆られてその後行動した、とは言えませんでした。
記念に飲み干した空き缶と連絡先を交換して、今度は最後まで愉しく試合をしようと約束をしました。

「V世、ご歓談中失礼します。ダージリン様がお呼びです。クルセイダーの修理は如何するかと…"帰国"の手配も尋ねられています」
ニルギリさんが申し訳なさそうにお声をかけてくれました。
それを契機にペコさんが立ち上がり「連絡します。だから無視しないでくださいね」そう言ってから一礼されて、
ニルギリさんと共にダージリンさんの所に向かいました。
16/11/05(土)00:13:26 No.388910091
西住隊長の元に戻ろうと重い腰を上げた時、大声で呼びかけられて私は振り返りました。

「梓さーん!あの時!U号のクラッペで歌っていた歌!なんていう曲ですかぁー!?」
そこにはシニョンもほつれかけで、綺麗なお嬢様とは言えないペコさんが居ました。
でも雰囲気はとても爽やかで、私は彼女の笑顔を「綺麗だな」そう思ったのを覚えています。

「レモンティーです!!私の好きな曲!!二人で飲んだじゃないですか!?レモンティー!」
私は交換した空き缶を指差して答えました。
嬉しそうに何度も何度も私の名前を呼び、懸命につま先立ちで背伸して、
手を振り続けるオレンジペコさんを私は、私はずっと忘れられません。
16/11/05(土)00:14:39 No.388910374
よろしければ読んでみてください

su1630714.txt

今日は澤ペコDayです
16/11/05(土)00:20:09 No.388911733
そんな出血だなんて…バンビ―にカーボンはないんですか…!?
16/11/05(土)00:54:41 No.388922027
来た…きてくれた…
続きを待ってたシリーズが…
さっきのこころちゃんと合わせて2本も澤ペコを読めて今夜はいい夜だ
大将!思いっきり熱い澤ペコ一丁!!
16/11/05(土)01:02:45 No.388923888
ハンビーにカーボンは無かったんだけどボーン式にシートベルト絡めとけば良かった…

お待たせしました!遅くなってごめんね!
今日のウザ住澤ペコは入りだけど熱くしたよ!!
もう今日は眠れない!!本当にありがとう!!

レモンティー/シーナ&ザ・ロケッツ
https://www.youtube.com/watch?v=z7peYHwsH4o

レモンティー/THE NEATBEATS
https://www.youtube.com/watch?v=rrndHYxHHOk
16/11/05(土)01:03:39 No.388924063
二人共出血とは…
今度はお互いに薬とイチゴジャムを…
16/11/05(土)01:05:14 No.388924376
本当に好きなシリーズなんだよ
過去ログ保存して何度も読んでる
16/11/05(土)01:06:29 No.388924657
次回治療入れるね!ありがとう!!
16/12/07(水)17:51:50 No.388908829
1478272046285.jpg-(71320 B)
キタ━━━(゜∀゜)━━━!!


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